![]() 『昨日はごめん』 剛が去ってしばらくするとミクの携帯にメールが届いた。それだけで十分だった。 「ミクちゃん、時間だよ。」 返信を打とうとしたとき、木村に言われてミクは慌てて携帯を閉じた。 ・・・・私のほうこそごめんね・・・・・ ミクはジャケットのポケットに剛にもらったばかりのブレスレットをしのばせ、そっと手を入れて握り締めた。 「・・・シュウくん、プライベートのことにどうこう言うつもりはないけど、行動にだけは十分注意してね、あなた、今が1番大事なときなんだから。」 車が発進するとしばらくして榊が剛にそう言った。 「・・・はい。」 剛は無愛想に返事をすると携帯を閉じて胸ポケットへ入れた。 「ユッキー、このアイス、好きかな。」 「好きなんじゃない。きっと喜んでくれるわよ。」 午後、試験中で昼に学校を出た神崎メグミと田中ユミは途中のコンビニでアイスを買い、雪那のところへ向かっていた。 「でも、ユッキーコンビニのアイスなんて食べてくれるかな、もっと高級な店で買ったほうがよかったかもね。」 「いいのよ、私たちは高校生なんだから。そんなこと気にする雪那じゃないわよ。」 「そうだよね・・・でもさ・・・・。」 「なによ。」 「あのとき・・・・ユッキーどうして教室からいなくなったりしたんだろ・・・・堂島先生が来たから?」 「・・・・そんなこと、判んないわよ・・・けど、すぐに探してたらあんなことにはならなかったかも・・・。」 ふたりは急に悲しい気持ちに沈んでいた。 「今さら何言っても仕方ないよ・・・・あ、堂島先生。」 ふたりの前方に駐車場へ車を止めて玄関へ向かう光一の姿が現れた。 「せ・・・・。」 メグミが声をかけようとしたとき、光一も誰かに声をかけていた、とても美しい女性だった。 「・・・誰?先生の知り合い?」 「もしかして 先生の婚約者じゃないの?・・・・でもあの人先生より年上よね・・・。」 「どうでもいいよ、早く行こ!アイスが溶けちゃう。」 ふたりは光一たちの横をすり抜けて病院内へ入って行った。 「レミ!」 「光一・・・こんにちは。」 「来てくれたん?ありがとう。」 「ええ・・・でも、雪那さん 私に会ってくれるかしら・・・・ここまで来てどんな顔していいか急に怖くなって・・・何しに来たんだか・・・。」 レミは病院へ来たものの入れずに佇んでいるところを光一に見つかったのだった。 「それなら大丈夫やと思う・・・あの子は今 13歳の女の子やから・・・。」 光一はレミに事情を話したがさすがに13歳まで退行していると聞いて驚くレミだった。 「シュウから記憶が飛んでるってことは聞いたけど・・・あなたのことも?」 「・・・そうや。オレのことも覚えてないんや。今は家庭教師やってごまかしてあの子の側にいるんやけど。」 「・・・・・・そんな・・・・。」 レミの顔色が青ざめていた。 「とにかく せっかく来てくれたんや、逢ってやってよ。」 「ユッキー!」 「あ、メグさん、ユミさん、こんにちは。学校は?」 「試験で早いの。元気そうね。」 ユミが雪那の側に座った。メグミは付き添っている佐野にアイスを渡した。 「まぁ、ありがとうございます。すぐにご用意いたしますね、お嬢様、アイスクリームを頂きましたよ。」 「ありがとう!いま冷たいものが欲しかったの・・・・・・・おいしい♪」 嬉しそうにほおばる雪那を見ながらメグミたちも嬉しかった。 「・・・あ、今 下で先生見かけたよ。綺麗な人と話してた。」 メグミがアイスをつつきながらふと光一のことを口にした。 「先生が・・・・。」 「ねぇ、先生の首に下げてるのって女ものの指輪でしょ?あれって婚約者のじゃないの?前に交通事故に遭ったって言ってたから 預かってんのかな・・・・どんな人か気になるよね・・・おいし♪」 雪那の顔から笑顔が消えていた。 ・・・・大事なお守りやから君が元気になったらあげるね・・・・ 「・・・・どうして・・・・」 「ん?なあに?」 「・・・・ううん。先生といた人ってそんなに綺麗な人なの?雪那も会ってみたいな・・・。」 「うん、すごい美人。でも先生よりは年上だと思うよ。どっかで見たことあるような ないような・・・・・。」 そのとき ドアがノックされて光一とレミが入って来た。 「こんにちは。」 「あ!」 「メグ!急に大きな声出さないの、雪那がびっくりするでしょ。雪那、大丈夫?あの人よ 今言ってた美人って。」 ユミが雪那の耳元で囁いた。 光一の隣で微笑んでいるレミに雪那は何かを感じ取っていた。 「君らも来てくれてたん?いつもありがとう。」 「いえ、・・・じゃあ私たちはこれで。雪那 またね。」 「また来るからね。」 「うん、アイスありがとう・・ばいばい。」 雪那は力なくそう言って手を振った。胸が苦しくて 光一とレミを正視することができないでいた。 綺麗な人・・・・先生の側にいてとても素敵・・・それなのに雪那は子供で・・・ちっとも綺麗じゃない・・・ケガしてるし・・・髪の毛もないし・・・恥ずかしい・・・・・。 「雪那ちゃん、こちらは五條レミさん、シュウのアルバムのジャケットの絵はこの人が描いたんや、覚えてる?」 「レミさん・・・・・・・・。」 雪那はレミをじっと見つめた。聖母マリアのようなレミの微笑みが雪那の目にはまぶしかった、雪那の胸の奥のほうでなにかが小さく弾けたような音が聴こえた。 ・・・・思い出さないで・・・・・考えてはダメ・・・絶対にダメ・・・・ 「雪那さんの好きなものが判らなくてお花にしたの、どうぞ。」 レミが可愛らしい花ばかりで作った花束を雪那に差し出した。雪那はとっさにそれを払いのけていた。 レミの顔が硬直していた、光一も驚いていた。 「こんにちは。・・・あ、五條さん、どうしてここに?」 そのとき、大月美勇起が開いたままのドアをノックして顔を見せた。光一の側にいるレミの姿に驚いたが雪那が美勇起を呼びながら目から大粒の涙をこぼして泣いていたので更に驚いた。 「・・・・ミユ・・・・・ミユ・・・・。」 さっきまでメグミたちと明るく話していた雪那の異変に全員が驚いていた。 「どうしたの?」 美勇起が慌てて雪那に近づいてその手を握った。 「雪那ちゃん、どないしたん?」 「大丈夫?」 光一、レミが立て続けに雪那に声をかけたが雪那は泣きながらすごい力で美勇起の手をつかんでいた。 「ミユ・・・あの人は嫌・・・怖い・・・・。」 雪那が小さな声で言ったので美勇起にだけやっと聞えたがそれがなぜかは判らなかった。 「・・・光一さん、私 帰るわ。雪那さん気分が悪いのに突然来てごめんなさいね、お大事にね。」 レミは青い顔をしたまま光一に持ってきた花束を手渡すと 早々に病室を出て行った。 「え!レミ!」 光一はレミを追って病室を出て行ってしまった。残された美勇起は困惑しつつも雪那の気持ちをなだめようと必死に笑顔を見せていた。 「雪那ちゃん、ボクがいるから大丈夫だよ、先生もすぐに戻ってきてくれるからね。」 「先生・・・・行っちゃった・・・・あの人のとこ・・・・。」 雪那は泣き続けていた。 「あ・・・雪那ちゃんはあの人のこと知ってるの?」 「知らない・・ミユは知ってるの?」 「うん。」 「先生とあの人は・・・・特別なの?」 「え・・・五條さんとは顔見知りだけどそれ以上のことはボクは何も知らないんだ・・・・ごめんね。」 聞かれて美勇起は答えられなかったがその胸には言い知れぬ不安が拡がっていた。 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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何気ないひと言、悪意がないだけによけいに辛いね。 |
Rain 2005/11/25 00:07 |
ミク、剛からメール来て良かったね♪ |
WAO 2005/11/25 00:27 |
おはよう〜♪いつも感想ありがとう〜〜〜♪ |
桜 2005/11/25 11:09 |
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