君を想うだけで・・・。27
皇一は吹雪の中 しばらく途方にくれていた。
帝が後から出てきて驚いた。
「うわ・・・なんや この雪は・・・。コーイチお前 まだおったんか。」
「・・・これじゃ 行くに行けんわ・・・。どないしよう。」
「せやかて 彼女もう来てるんちゃう?連絡した?」
「・・あ、そうか。」
あわてて携帯をかけてみた・・・が繋がらない。
「あかん、電源切ってる。」
「ええ・・・なんで?」
「・・・なんでやろ。」
しかし 困っている場合じゃない、早く行かないと琴音もきっと雪の中 皇一を待っているはずだった。
「と、とにかく 何とかして行ってみるわ。」
皇一は雪の中 タクシーに飛び乗った。
「・・・がんばれよ。」
帝は皇一の乗ったタクシーを見送ってから自分も舞雪のことが気になって携帯をかけた。
「帝くん?いまどこ?」
「仕事終わって出てきたとこ。舞雪はまだ仕事してんの?」
「うん、これから帰ろうと思ったら すごい雪で帰れない・・・。」
舞雪も情けない声を出した。
「タクシー拾えるか?」
「うん なんとかやってみる。」
「家についたら連絡して。」
「わかった。帝くんも気をつけてね!」
携帯を切ってから 帝も恨めしそうに空を見上げた。
「何も今日 降らんかてええやん・・・・。」
帝は皇一たちのことが気がかりだった。
皇一は雪で渋滞している中、ジリジリしながら琴音との待ち合わせ場所へ急いでいた。
視界が悪いのと、雪で思うように車が進めず 歩いていくほうが早い気がした。
皇一はガマンできずに途中でタクシーを降りて歩き出したがすぐに全身雪で真っ白になった。
すごく寒くて体が凍えそうだった。
「・・・琴音・・・寒いやろな。」
なんとか自力で待ち合わせ場所へ到着したものの、琴音の姿はどこにも見当たらない。
(・・・ああ・・・電車も雪で来られへんのかな。)
携帯は相変わらず繋がらず、連絡も取れないまま皇一はしばらく待っていたが とりあえず 家へ帰ることにした。
(きっと琴音から連絡が来るはずや。とにかく待とう。)
そこから 帰るのにまた一苦労してマンションに着いたのはそれからだいぶたってからだった。
「まったく なんちゅう日なんやって!」
ひとり雪に怒りながら着替えて琴音を待っていた。
雪はやみそうになく どんどん降り続いていた。
「なんで 連絡がないんや・・・。」
皇一はひたすら待った。
どれくらいたったのか、いつの間にかウトウトしてたらしく携帯の音で気がついた。
「皇一さん!」
「琴音!」
皇一は琴音の声で一瞬にして目が覚めた。
「いま どこ?」
「わからない・・・えっと・・・○○町4丁目って標識に書いてあるけど・・・。」
「近いわ!そこ動かんといて!」
皇一は飛び出していった。
雪の降る中、琴音が雪で真っ白になりながら立っていた。
琴音の姿を見たとたん、皇一は安堵と切なさで琴音を強く抱きしめていた。
「心配したんやで・・・・どうしてたん?」
琴音の頭の雪を払いながら皇一が言った。
「うん、早めにこっちに着いたんだけど 途中で雪で転んで怪我した人がいたの。
ほうっておけなくて 近くの病院まで付き添ってて・・・それで遅くなっちゃって。
携帯も切ってたから連絡もできなくて ごめんなさい。」
「そやったんか・・・とにかく無事でよかった。けど、さすがナースやな(笑)」
皇一は琴音の肩をしっかり抱いてマンションへと入っていった。
「・・・落ち着いた?」
「うん・・・。」
温かい部屋でコーヒーを飲みながらやっと 琴音も笑顔を見せた。
「皇一さんの部屋 シンプルね(笑)」
琴音が部屋を見回して笑った。
「ああ・・・何もない部屋やろ。掃除は楽やで(笑)」
「皇一さんらしい(笑)」
「・・・この雪じゃ今夜は買い物は無理やな。」
皇一は恨めしそうに窓の外を見た。
「なにかある?」
琴音が聞いた。
「うん・・・。」
「冷蔵庫 見てもいい?」
「ええよ。」
琴音は冷蔵庫の中にあった材料でチャーハンと野菜スープを作った。
部屋中にいい匂いがただよって皇一の食欲をかきたてた。
皇一はキッチンに立つ琴音を後ろからそっと抱きしめた。
「・・・琴音の匂いや。」
琴音の髪に顔を寄せる皇一。
「待って・・・もうできるから。」
琴音はくすぐったそうに笑った。
「・・・もう待てない。」
琴音の髪をなでながらそっと耳元にkissした。
「・・・皇一さん・・・。」
琴音の胸がドキドキする音が聞こえるようだった。
「・・・ね、ほんとに待って・・・。」
振り向いた琴音の唇をふさぎ、しばらくそこで熱い抱擁をした皇一だったが さすがに空腹には勝てず 顔を離した。
「・・・まず 食べよか(笑)」
「・・・うん。・・・」
琴音がほほを紅潮させてうなずいた。
「・・・うん うまい!腹へってるからなに食べてもうまいわ(笑)」
「それ・・・ほめてる?」
琴音が笑いながらたしなめた。
「うんうん♪褒めてる 褒めてる(笑)初めてやん、琴音とこうやって飯食べるの。
オレ めっちゃ嬉しいわ(笑)」
無邪気な笑顔で無心に食べる皇一がとても愛しく思える琴音だった。
「・・・よかった・・・・。」
琴音がつぶやいた。
「ん?なに?」
「・・なんでもない。(笑)」
皇一の笑顔がまぶしい琴音だった。
「疲れたやろ。オレ片付けやるから先に風呂 入ったら?」
食事が終わると皇一が言った。
「え・・・私は後でいいわよ。皇一さん 入ってきて。」
琴音が顔を真っ赤にして言った。
「ええよ。今日は琴音はお客様なんやから、お先にどうぞ(笑)」
「・・・・でも・・・。」
「ふふ・・・じゃ 一緒に入る?(笑)」
琴音の顔がますます真っ赤になった。
「・・・冗談(笑)うちの風呂 狭いからひとりしか入られへん。いいから入っといで。」
「うん・・・ありがとう。皇一さんって・・・優しいのね(笑)」
「今頃気付いた?(笑)」
浴室からかすかに聞こえるシャワーの音を聞きながら 皇一は雪を恨めしくも思ったが
何より、琴音と一緒に過ごせる喜びのほうが大きかった。
バスローブを着て、濡れた髪で出てきた琴音を見てホテルで過ごした夜の事を思い出した。
「何か飲む?」
そういって皇一は前に買っておいたワインを取り出した。
「・・・この前のデートみたい。」
琴音も同じことを思い出したようだった。
「せやな。」
グラスにワインを注ぎながら皇一も微笑んだ。
「じゃ 乾杯しよか。」
「なにに?」
「もちろん オレと琴音の再会を祝して(笑)」
「・・・乾杯。」
ワインを飲みながら皇一は琴音の肩を抱いて雪景色を見ていた。
「なんや雪すごかったけど こうしてみるとキレイやなぁ。」
「・・・ほんとね。」
琴音もワインに酔ったのか目が潤んでいた。
皇一は琴音にそっとkissした。
「・・・皇一さんはお風呂 入らないの?」
「琴音にあっためてもらおうかな(笑)」
「え・・・」
ますます琴音のほほが紅潮していた。
「ふふふ・・・風呂入ってくる。(笑)」
皇一はもう一度琴音にkissしてから浴室へ入って行った。
皇一がシャワーを浴びて出てくると琴音は居間のソファにもたれて眠ってしまっていた。
「・・・・なんや・・・寝てもうた・・・かわいい顔してからに・・・・。」
皇一は笑って琴音を抱きかかえて 寝室へ連れていった。
ベッドへ寝かせても琴音は起きる気配はなかった。
「疲れてんのやな。あーあ、寝込みを襲うわけにもいかへんしな・・・・。」
皇一は残念そうに小さくため息をつくと琴音のおでこにkissをして部屋の明かりを消した。
「・・・おやすみ
」
・・・・・・・オレ・・・今、琴音と一緒にいるんやな・・・・夢やない・・・・夢や・・・・な・・・・い・・・・
その夜はぐっすり寝ている琴音の髪をなでながらいつしか皇一も眠りに落ちていった。
翌朝 皇一はいい匂いで起こされた。
琴音が朝食を作っているようだった。
「・・・おはよう。」
皇一が眠い目をこすりながら起きてきた。
「あ、おはよう。私 昨日寝ちゃったのね(笑)」
恥ずかしそうに笑う琴音。
「そうやん。シャワー浴びて出てきたら寝てるんやもんなぁ~寂しかったぁ・・・・。」
皇一はすねた顔で琴音を後ろからギュッと抱きしめた。
「ごめんね。」
「ね、今日は?オレは仕事あるけど・・・どっか行ってくる?」
「ううん、私 ここで待ってる(笑)明日まで休み取れたから。」
「ほんま?じゃあ終わったら 速攻帰ってくるから一緒に買い物行こな。」
「わかった。顔 洗ってきて(笑)」
「はいはい。」
(・・・なんや 新婚さんみたいやな。)
皇一はくすぐったい気持がした。
雪も峠を越したようで空はよく晴れていた。
夜、光一は琴音を連れて会員制の大きなショッピングセンターに来ていた。
時間も遅かったせいか 客もまばらで帽子を目深にかぶりサングラスをした皇一に
気を止めるものもいなかった。
「すごく大きなお店ねぇ。」
琴音は周りを見ながら感心していた。
「うん 何でも揃ってるで。ほしいもんあったらどんどんカートに入れてええよ。(笑)」
「うふふ。とりあえず夕食の材料ね(笑)何が食べたい?」
琴音も楽しそうだった。
「せやなぁ・・・寒いから 鍋 にしよか(笑)」
その日の夕食はふたりで鍋を囲んで楽しいひとときを過ごした。
湯気の中に見える琴音はずうっと嬉しそうに微笑んでいて それを見ている皇一も幸せな気分だった。
食事の後、琴音がどうしてもと言うので仕方なく、 皇一の前回の舞台のDVDを見ながら ワインを飲んでいた。
皇一は気恥ずかしかったが、琴音は真剣に皇一の華麗な場面の数々を堪能していた。
「・・・皇一さん ステキねぇ・・・。」
琴音は思わず感嘆のため息を漏らした。
「・・・なんや琴音と自分の舞台を見るなんて恥ずかしいわ(笑)ね、映画に変えない?」
「だめ。終わるまで見るの(笑)」
あきらめて皇一は先にシャワーを浴びることにした。
浴室から出てくると 琴音はまだ真剣にDVDを見ていた。
「ねぇ・・・まだ見てんの?本人がここにおるんやけど(笑)」
皇一は髪をタオルで拭きながら琴音に話しかけた。
「え・・・だって ここじゃ踊れないでしょ(笑)」
琴音がクスクス笑った。
「あはは♪そりゃそうや(笑)・・って踊るかい!」
「あはは(笑)」
皇一は冷蔵庫から缶ビールを2つ出してひとつを琴音に渡した。
「ねぇ・・・琴音?・・・琴音ちゃん。」
ビールを飲みながら琴音の髪をなでる。
「う・・・ん。もうちょっと。」
返事をしながらも視線は画面に釘付けだった。
「あ~・・・もう 待てへん。」
皇一はビールをガラスのテーブルに置いて琴音を強引に押し倒した。驚く琴音。
「皇一さん・・・。」
「こっち 見て。」
皇一は琴音の唇をふさいだ。そして耳元で甘く囁いた。
「愛してる・・・。」
「私も・・・。」
琴音も目を閉じて皇一に体を預けた。
TV画面ではちょうど皇一がアンコールに応えている場面を映していた。
「・・ああ もう台無し。」
皇一はTVの電源を切った。
琴音が皇一の胸の中で笑った。
「今夜は 先に寝るなよ(笑)」
「わかった(笑)お風呂 入ってくる。」
琴音が入浴をすませて出てくると 部屋の照明が落とされ小さな音で耳に心地いいBGMが寝室から聞こえてきた。
「・・・皇一さんて こんなにロマンチストだった?(笑)」
「・・・らしいやろ?(笑)」
「ふふ・・・どうかな。(笑)」
光一は琴音を抱き上げると寝室へと入って行った。
やっと皇一はこの夜、琴音と久しぶりに結ばれることができた。
ふたりは朝まで幾度となく深く愛し合った。
また次 いつ会えるかわからない切なさがいっそうふたりの心に火をつけていた。
帝が後から出てきて驚いた。
「うわ・・・なんや この雪は・・・。コーイチお前 まだおったんか。」
「・・・これじゃ 行くに行けんわ・・・。どないしよう。」
「せやかて 彼女もう来てるんちゃう?連絡した?」
「・・あ、そうか。」
あわてて携帯をかけてみた・・・が繋がらない。
「あかん、電源切ってる。」
「ええ・・・なんで?」
「・・・なんでやろ。」
しかし 困っている場合じゃない、早く行かないと琴音もきっと雪の中 皇一を待っているはずだった。
「と、とにかく 何とかして行ってみるわ。」
皇一は雪の中 タクシーに飛び乗った。
「・・・がんばれよ。」
帝は皇一の乗ったタクシーを見送ってから自分も舞雪のことが気になって携帯をかけた。
「帝くん?いまどこ?」
「仕事終わって出てきたとこ。舞雪はまだ仕事してんの?」
「うん、これから帰ろうと思ったら すごい雪で帰れない・・・。」
舞雪も情けない声を出した。
「タクシー拾えるか?」
「うん なんとかやってみる。」
「家についたら連絡して。」
「わかった。帝くんも気をつけてね!」
携帯を切ってから 帝も恨めしそうに空を見上げた。
「何も今日 降らんかてええやん・・・・。」
帝は皇一たちのことが気がかりだった。
皇一は雪で渋滞している中、ジリジリしながら琴音との待ち合わせ場所へ急いでいた。
視界が悪いのと、雪で思うように車が進めず 歩いていくほうが早い気がした。
皇一はガマンできずに途中でタクシーを降りて歩き出したがすぐに全身雪で真っ白になった。
すごく寒くて体が凍えそうだった。
「・・・琴音・・・寒いやろな。」
なんとか自力で待ち合わせ場所へ到着したものの、琴音の姿はどこにも見当たらない。
(・・・ああ・・・電車も雪で来られへんのかな。)
携帯は相変わらず繋がらず、連絡も取れないまま皇一はしばらく待っていたが とりあえず 家へ帰ることにした。
(きっと琴音から連絡が来るはずや。とにかく待とう。)
そこから 帰るのにまた一苦労してマンションに着いたのはそれからだいぶたってからだった。
「まったく なんちゅう日なんやって!」
ひとり雪に怒りながら着替えて琴音を待っていた。
雪はやみそうになく どんどん降り続いていた。
「なんで 連絡がないんや・・・。」
皇一はひたすら待った。
どれくらいたったのか、いつの間にかウトウトしてたらしく携帯の音で気がついた。
「皇一さん!」
「琴音!」
皇一は琴音の声で一瞬にして目が覚めた。
「いま どこ?」
「わからない・・・えっと・・・○○町4丁目って標識に書いてあるけど・・・。」
「近いわ!そこ動かんといて!」
皇一は飛び出していった。
雪の降る中、琴音が雪で真っ白になりながら立っていた。
琴音の姿を見たとたん、皇一は安堵と切なさで琴音を強く抱きしめていた。
「心配したんやで・・・・どうしてたん?」
琴音の頭の雪を払いながら皇一が言った。
「うん、早めにこっちに着いたんだけど 途中で雪で転んで怪我した人がいたの。
ほうっておけなくて 近くの病院まで付き添ってて・・・それで遅くなっちゃって。
携帯も切ってたから連絡もできなくて ごめんなさい。」
「そやったんか・・・とにかく無事でよかった。けど、さすがナースやな(笑)」
皇一は琴音の肩をしっかり抱いてマンションへと入っていった。
「・・・落ち着いた?」
「うん・・・。」
温かい部屋でコーヒーを飲みながらやっと 琴音も笑顔を見せた。
「皇一さんの部屋 シンプルね(笑)」
琴音が部屋を見回して笑った。
「ああ・・・何もない部屋やろ。掃除は楽やで(笑)」
「皇一さんらしい(笑)」
「・・・この雪じゃ今夜は買い物は無理やな。」
皇一は恨めしそうに窓の外を見た。
「なにかある?」
琴音が聞いた。
「うん・・・。」
「冷蔵庫 見てもいい?」
「ええよ。」
琴音は冷蔵庫の中にあった材料でチャーハンと野菜スープを作った。
部屋中にいい匂いがただよって皇一の食欲をかきたてた。
皇一はキッチンに立つ琴音を後ろからそっと抱きしめた。
「・・・琴音の匂いや。」
琴音の髪に顔を寄せる皇一。
「待って・・・もうできるから。」
琴音はくすぐったそうに笑った。
「・・・もう待てない。」
琴音の髪をなでながらそっと耳元にkissした。
「・・・皇一さん・・・。」
琴音の胸がドキドキする音が聞こえるようだった。
「・・・ね、ほんとに待って・・・。」
振り向いた琴音の唇をふさぎ、しばらくそこで熱い抱擁をした皇一だったが さすがに空腹には勝てず 顔を離した。
「・・・まず 食べよか(笑)」
「・・・うん。・・・」
琴音がほほを紅潮させてうなずいた。
「・・・うん うまい!腹へってるからなに食べてもうまいわ(笑)」
「それ・・・ほめてる?」
琴音が笑いながらたしなめた。
「うんうん♪褒めてる 褒めてる(笑)初めてやん、琴音とこうやって飯食べるの。
オレ めっちゃ嬉しいわ(笑)」
無邪気な笑顔で無心に食べる皇一がとても愛しく思える琴音だった。
「・・・よかった・・・・。」
琴音がつぶやいた。
「ん?なに?」
「・・なんでもない。(笑)」
皇一の笑顔がまぶしい琴音だった。
「疲れたやろ。オレ片付けやるから先に風呂 入ったら?」
食事が終わると皇一が言った。
「え・・・私は後でいいわよ。皇一さん 入ってきて。」
琴音が顔を真っ赤にして言った。
「ええよ。今日は琴音はお客様なんやから、お先にどうぞ(笑)」
「・・・・でも・・・。」
「ふふ・・・じゃ 一緒に入る?(笑)」
琴音の顔がますます真っ赤になった。
「・・・冗談(笑)うちの風呂 狭いからひとりしか入られへん。いいから入っといで。」
「うん・・・ありがとう。皇一さんって・・・優しいのね(笑)」
「今頃気付いた?(笑)」
浴室からかすかに聞こえるシャワーの音を聞きながら 皇一は雪を恨めしくも思ったが
何より、琴音と一緒に過ごせる喜びのほうが大きかった。
バスローブを着て、濡れた髪で出てきた琴音を見てホテルで過ごした夜の事を思い出した。
「何か飲む?」
そういって皇一は前に買っておいたワインを取り出した。
「・・・この前のデートみたい。」
琴音も同じことを思い出したようだった。
「せやな。」
グラスにワインを注ぎながら皇一も微笑んだ。
「じゃ 乾杯しよか。」
「なにに?」
「もちろん オレと琴音の再会を祝して(笑)」
「・・・乾杯。」
ワインを飲みながら皇一は琴音の肩を抱いて雪景色を見ていた。
「なんや雪すごかったけど こうしてみるとキレイやなぁ。」
「・・・ほんとね。」
琴音もワインに酔ったのか目が潤んでいた。
皇一は琴音にそっとkissした。
「・・・皇一さんはお風呂 入らないの?」
「琴音にあっためてもらおうかな(笑)」
「え・・・」
ますます琴音のほほが紅潮していた。
「ふふふ・・・風呂入ってくる。(笑)」
皇一はもう一度琴音にkissしてから浴室へ入って行った。
皇一がシャワーを浴びて出てくると琴音は居間のソファにもたれて眠ってしまっていた。
「・・・・なんや・・・寝てもうた・・・かわいい顔してからに・・・・。」
皇一は笑って琴音を抱きかかえて 寝室へ連れていった。
ベッドへ寝かせても琴音は起きる気配はなかった。
「疲れてんのやな。あーあ、寝込みを襲うわけにもいかへんしな・・・・。」
皇一は残念そうに小さくため息をつくと琴音のおでこにkissをして部屋の明かりを消した。
「・・・おやすみ
」 ・・・・・・・オレ・・・今、琴音と一緒にいるんやな・・・・夢やない・・・・夢や・・・・な・・・・い・・・・
その夜はぐっすり寝ている琴音の髪をなでながらいつしか皇一も眠りに落ちていった。
翌朝 皇一はいい匂いで起こされた。
琴音が朝食を作っているようだった。
「・・・おはよう。」
皇一が眠い目をこすりながら起きてきた。
「あ、おはよう。私 昨日寝ちゃったのね(笑)」
恥ずかしそうに笑う琴音。
「そうやん。シャワー浴びて出てきたら寝てるんやもんなぁ~寂しかったぁ・・・・。」
皇一はすねた顔で琴音を後ろからギュッと抱きしめた。
「ごめんね。」
「ね、今日は?オレは仕事あるけど・・・どっか行ってくる?」
「ううん、私 ここで待ってる(笑)明日まで休み取れたから。」
「ほんま?じゃあ終わったら 速攻帰ってくるから一緒に買い物行こな。」
「わかった。顔 洗ってきて(笑)」
「はいはい。」
(・・・なんや 新婚さんみたいやな。)
皇一はくすぐったい気持がした。
雪も峠を越したようで空はよく晴れていた。
夜、光一は琴音を連れて会員制の大きなショッピングセンターに来ていた。
時間も遅かったせいか 客もまばらで帽子を目深にかぶりサングラスをした皇一に
気を止めるものもいなかった。
「すごく大きなお店ねぇ。」
琴音は周りを見ながら感心していた。
「うん 何でも揃ってるで。ほしいもんあったらどんどんカートに入れてええよ。(笑)」
「うふふ。とりあえず夕食の材料ね(笑)何が食べたい?」
琴音も楽しそうだった。
「せやなぁ・・・寒いから 鍋 にしよか(笑)」
その日の夕食はふたりで鍋を囲んで楽しいひとときを過ごした。
湯気の中に見える琴音はずうっと嬉しそうに微笑んでいて それを見ている皇一も幸せな気分だった。
食事の後、琴音がどうしてもと言うので仕方なく、 皇一の前回の舞台のDVDを見ながら ワインを飲んでいた。
皇一は気恥ずかしかったが、琴音は真剣に皇一の華麗な場面の数々を堪能していた。
「・・・皇一さん ステキねぇ・・・。」
琴音は思わず感嘆のため息を漏らした。
「・・・なんや琴音と自分の舞台を見るなんて恥ずかしいわ(笑)ね、映画に変えない?」
「だめ。終わるまで見るの(笑)」
あきらめて皇一は先にシャワーを浴びることにした。
浴室から出てくると 琴音はまだ真剣にDVDを見ていた。
「ねぇ・・・まだ見てんの?本人がここにおるんやけど(笑)」
皇一は髪をタオルで拭きながら琴音に話しかけた。
「え・・・だって ここじゃ踊れないでしょ(笑)」
琴音がクスクス笑った。
「あはは♪そりゃそうや(笑)・・って踊るかい!」
「あはは(笑)」
皇一は冷蔵庫から缶ビールを2つ出してひとつを琴音に渡した。
「ねぇ・・・琴音?・・・琴音ちゃん。」
ビールを飲みながら琴音の髪をなでる。
「う・・・ん。もうちょっと。」
返事をしながらも視線は画面に釘付けだった。
「あ~・・・もう 待てへん。」
皇一はビールをガラスのテーブルに置いて琴音を強引に押し倒した。驚く琴音。
「皇一さん・・・。」
「こっち 見て。」
皇一は琴音の唇をふさいだ。そして耳元で甘く囁いた。
「愛してる・・・。」
「私も・・・。」
琴音も目を閉じて皇一に体を預けた。
TV画面ではちょうど皇一がアンコールに応えている場面を映していた。
「・・ああ もう台無し。」
皇一はTVの電源を切った。
琴音が皇一の胸の中で笑った。
「今夜は 先に寝るなよ(笑)」
「わかった(笑)お風呂 入ってくる。」
琴音が入浴をすませて出てくると 部屋の照明が落とされ小さな音で耳に心地いいBGMが寝室から聞こえてきた。
「・・・皇一さんて こんなにロマンチストだった?(笑)」
「・・・らしいやろ?(笑)」
「ふふ・・・どうかな。(笑)」
光一は琴音を抱き上げると寝室へと入って行った。
やっと皇一はこの夜、琴音と久しぶりに結ばれることができた。
ふたりは朝まで幾度となく深く愛し合った。
また次 いつ会えるかわからない切なさがいっそうふたりの心に火をつけていた。

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