君を想うだけで・・・。69

「そろそろやな・・・。」

帝は腕時計を見た。

ほほをなでる風は春の訪れを感じさせていた。

しばらく待つと 舞雪がビルから飛び出してきた。なにやら少し急いでいるように見えた。

「・・あいつ、なに慌ててんのや。」

帝は少しはなれたところから 舞雪の後をつけて行った。

舞雪は都心の賑やかなファッションビル街へと入っていった。

帝も見失わないように後を追ったが帽子を目深にかぶり サングラスをはめた様子に
道行く人は誰も帝に気付くことはなかった。

舞雪はとあるブティックのショーウインドーに両手をついて張り付いていた。

その様子がおかしくて 帝はゆっくりと舞雪の背後から近づいた。

「お嬢さん 何してんの?オレとお茶でもどう?

舞雪の両手の上から自分の手をそっと重ねて 舞雪の耳元でささやいた。

舞雪はあまりに驚いて声も出せずに真っ青な顔をしてウインドーに映った帝の顔を見た。

「・・・・びっくりしたぁ・・・・。

驚きの表情から感激の表情に変わるのを見るのは楽しかった。

「さっきから ずっとつけてたの 気付かへんかった?」

「・・・全然。どうしたの?忙しいんでしょう今。」

「ドラマ 終わってん。今日は休みやったんや

「そうだったの・・・お疲れさま(笑)」

久しぶりに見る舞雪の笑顔がかわいかった。

「・・・で、熱心に何見てたん?」

「あ、うん。春物の服。今度 雑誌で紹介するんだけど 何かいいものないかなって思って あちこち見てたの。」

「ここ けっこういいで。オレもたまに買い物するんや。」

「そうなの?へぇ・・・。」

舞雪は再びショウウインドーにディスプレイされたコートに釘付けになっていた。

「それ、ええなぁ・・・おいで。」

帝は舞雪の手をとって店内に 入っていった。

「ちょ、ちょっと・・・。」

舞雪はあわてたが 帝はおかまいなしだった。

「こんちは

「いらっしゃい(笑)」

店長らしき人が帝を見て にっこりした。

「そちら、帝くんの彼女?」

「え、あぁ・・・たまにお世話になってる 雑誌社の編集の子なんや、かわいいやろ(笑)
今度、この店 特集したいねんて、案内してきたんや。」

「そうなの、嬉しいわ。どうぞ 色々見ていってね。」

「よ、よろしくお願いします。」

とても感じのいい人で舞雪も深々と頭を下げた。

「な、これなんてええんとちゃう?」

帝は淡いオレンジのコートを選んで舞雪の肩からふわりとかけた。

「うん、かわいいね

鏡に映った自分の姿を見て舞雪が言うと 帝が笑った。

「自分で かわいい やって(笑)」

「・・・コートが って意味だよ。

舞雪は顔を真っ赤にしていた。

「んふふ

帝は舞雪の肩からコートをはずし レジに持っていった。



店を出ると 帝はコートの入った袋を舞雪に渡した。

「これ、弁当のお礼。毎日 ありがとう。嬉しかったで(笑)」

「え・・・だって・・・いいよ、こんな高いもの・・・・。」

舞雪は胸がドキドキして 手は震えていた。

「こんなかわいいコート、オレが着るわけないやん。舞雪が着てるとこ 見たいのになぁ・・。」

サングラスの奥の瞳が優しく微笑んでいた。

舞雪は嬉しくて涙が出そうだったが 必死にこらえて笑顔を見せた。

「・・・ありがとう・・・。」

そう言うのが精一杯だった。

「オレが ありがとう やんか。ほんまに嬉しかったんや。毎日 疲れて帰ってきてもお前の弁当が楽しみやってん。」

そう言って舞雪の頭をくしゃくしゃして笑う帝に舞雪も笑顔で受け取った。



「な、このままデートしよ。どこ行きたい?」

「どこでも。帝くんと一緒ならどこでもいい。」

「・・・じゃ どっかで飯 食わへん?腹へった(笑)」

「あはは♪私も。」



「・・・・なんで ここなの?」

着いたところは 都心の遊園地だった。

「そやかて こないだコーイチたちと ここ来たんやろ。オレも舞雪とふたりで来たかってん(笑)」

「・・・・うん、私も。で、何食べる?(笑)」

「・・・舞雪の弁当・・・と言いたいとこやけど レストランでも入る?」

平日の夜の遊園地は若いカップルがたくさんいた。

「けっこう みんなデートしてるんだね。」

舞雪がレストランの屋外のテーブルでパスタを食べながら 周りのカップルたちを見ていた。

「オレたちかて 今夜は同じカップルやん、けっこううまいな ここのパスタ。」

「うん、なんだか ドキドキする。」

「パスタでドキドキ?(笑)」

「だって ふたりで遊園地で食事してるんだよ・・・ドキドキするよ。」

「こないだ ホテルのレストランでも食事したやん。」

「あそこは席が仕切られてたけど 今日は周りにたくさん人がいるんだもん・・・。」

「ええやん、もうオレ そういうの気にするのやめた(笑)それに みんな見てみ、ほとんどカップルやろ ほかの恋人たちのことなんて目に入ってへんて。」

「恋人・・・かぁ・・・。」

舞雪はその言葉に胸がきゅんとなった。

「恋人やろ(笑)」

「・・・うん。こないだ 琴音さんたちと来たときも楽しかったけど 今夜はもっと楽しい(笑)」

「食べたら 何か乗る?もちろんスピード系はあかんで(笑)」

「・・・観覧車に乗りたい。」

「よっしゃ今夜は舞雪の好きなもん 全部乗ろな




「・・・これが一緒に見たかったの。」

「ほんま キレイな夜景やなぁ。」

だんだん頂点に上っていくにつれて 夜景がふたりの目の前に広がっていた。

「舞雪、ちょっと。」

「ん?」

「ここに座って。」

帝は座席から降りて 観覧車の床にしゃがんだ。

舞雪も帝の前に同じようにしゃがんで座った。

「なあに?」

・・・kissしよ

帝はサングラスをはずして舞雪の両手をぎゅっとにぎった。

舞雪はそっと目をつぶった。そして・・・ふたりの唇が重なった。

観覧車はゆっくりとてっぺんに上がっていった。




・・・・・大好きだよ・・・・・




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2007年03月27日 20:26
ちょうど今頃の時期かな?春っぽ~いシーン満載だね~♪
あわてて出て来てショーウィンドーにぺたり(笑)なんか可愛い(*^^)v欲しいものでもあるのかな~?って思った。結果オ-ライ♪買ってもらえたもんね?
ここが落ち着いたとゆーことは…次は大人カップルに試練……?
愛戦士桜
2007年03月27日 22:48
始まりは季節がずれてたけど、今は合って来た(笑)
いつもこんな風に過ごせるといいのになって思います♪
春の嵐の前の静けさかな・・・・。桜吹雪が舞うかな(謎すぎ)
もも
2007年03月28日 00:09
うんうん。よかったぁ~ホントによかったぁ~(涙)
このままハッピーエンドでめでたし♪めでたし♪パチパチパチ~☆
…とはいかないのかなぁ…?
ん?遠くから謎な笑い声が…!?
愛戦士桜
2007年03月29日 21:01
ほんとにね、このままハッピーエンドでめでたし♪めでたし♪パチパチパチ~☆
・・・てなればいいのだけど。
ダークな桜吹雪が舞いそうだよ(謎)ほほほほほほ・・・・♪

この記事へのトラックバック